小説 『家日和』/ 奥田英朗
2010年 05月 19日
やっぱり奥田英朗はいいなあ。
あらすじ→ネットオークションにはまる主婦。会社が倒産し主夫となった営業マン。ロハスに凝る妻に辟易する小説家など・・。ちょっとズレても家庭は続く。夫と妻の心の機微を軽妙に描きだす、6つの家にまつわる短編集。
・サニーデイズ・・ネットオークションにはまる主婦。家にある粗大ゴミを何の気なしに出品したら、思わぬ収入&他人からの賞賛でやめられず。褒められると気分もあがって、肌の調子もよくなってイキイキという良のサイクルに。「非常に良い」評価を貰うために工夫したり、「普通」評価を貰うと落ち込んだり・・。オークションサイトにはまる人の心理が分かります。でも旦那さん、いい人だなあ。しかしギターの件はどうするんだろう・・。
・ここが青山・・夫の会社が倒産。すぐさま昔働いていた会社にアポとって再就職という奥さんの行動力が男前。そして旦那はかわりに主夫に。普通、どっちも「どうしよう~」とかってオロオロしそうだけど、この奥さんの男前な性格と、素直に家事をする旦那さんのコンビがいいなあ。奥さんが稼ぐ&夫が家事に目覚めるでこういう家庭もありだと思う。
・家においでよ・・お金に余裕ができた大人の男性の遊び場。確かに大学生とか学生だったら趣味にあんまりお金かけれないし。妻と別居して、家具だの家電製品だの好きなように買えて趣味に没頭できていいなあ。そのお陰で妻の事すっかり忘れてたけど。こんな居心地のいい部屋があったらそりゃ同僚も入り浸るでしょうし。お陰で浮気疑われてますけど、普通いい男の大人が同僚の部屋に行くっておもわないだろうし。最後の妻が遊びに来るっていうので掃除したりウキウキしてて、結局仲はいいんだよね。
・グレープフルーツモンスター・・専業主婦で、内職しているとなると会える若い男性って限られるんだなあ。せいぜい宅配の人くらい・・?奥さんの妄想で終わってたけど、相手がその気になってたら一気に不倫とかに走るんだろうな。
・夫とカーテン・・思いついたらすぐに仕事辞めて会社起こす夫と自宅でイラスト描いている妻。いつも夫の思いつきで起業するので振り回されてるけど、振り回された方がいい仕事ができるって。ある意味凄い。夫の仕事が上手くいかなかったら妻の仕事が上昇って、まさに「割れ鍋に綴じ蓋」のよう。でも人当たりが良くて営業向きな人柄のいい旦那さんで、奥さんは結構幸せそうだ。
・妻と玄米ご飯・・ロハスにはまる人達を皮肉ってて、面白い。妙に「化学調味料が~」とか「ヨガをするといいですよ~」とかなんか「自然」を謳ってるのってお金と時間に余裕のある人じゃないと難しいと思う。そして行き過ぎるとまるで宗教みたいだし。でも奥さんお金持ちになったのに、せいぜい家を買うくらいで、味は自然派なせいで薄味だけど手間ひまかけたご飯作ってくれるし、ブランド物買ったりしないしいい奥さんじゃん。作中作「妻と玄米御飯」も読んでみたい。