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by remisara
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映画 『英国王のスピーチ』

映画 『英国王のスピーチ』_c0162882_23501025.jpg
アカデミー賞主要4部門(主演男優、作品、監督、脚本)受賞作。

あらすじ→幼いころから、ずっと吃音に悩んできたジョージ6世。そのため内気な性格だったが、厳格な英国王ジョージ5世はそんな息子を許さず、さまざまな式典でスピーチを命じる。ジョージの妻エリザベスは、スピーチ矯正の専門家ライオネルのもとへ夫を連れていくが―。





注・盛大にネタバレしています



バーディことジョージ6世と、オーストラリア人の言語聴覚士であるライオネル・ローグの出会いから第二次世界大戦勃発時の国民を鼓舞する演説までのストーリー。
130分以上あり、ド派手なシーンがあるわけではないのにあっという間でした。
淡々と2人のやり取りを主にお互いの生活なども交えてコミカルかつシリアスに流れる話がものすごく面白かった。
アカデミー獲ったの納得。
そして、これが実話だということに驚く。


冒頭の博覧会閉会式でのスピーチに向かうバーディ。
その周囲からの視線や本人の態度から極度のプレッシャーであることが容易に分かる。
そしてしゃべりだしてからの周囲の失望や「見てはいけないものをみた」的な視線。
どんな素晴らしいスピーチをするかと期待しててあれだったら、観客の気持ちも分かるわ。
そしてまた駄目だったという落ち込み。

バーディは長らく吃音に悩み、あらゆる治療を行ってきたけど治らず。
というのも幼少時期からの吃音などは機能的よりも気質的に問題があることが多いのに、
今の「吃音」状態だけを何とかしようとするため効果がない。
だから映画の中でもあった、クリスタル7個口に含んで朗読する治療とかしようとするんだよ。

まあ「王族」の方に心理的な治療をするのはなかなか難しいだろうし。
不敬罪ととられかねないからなあ。
そこで登場したのが英国人ではなく、オーストラリア人のライオネル。
あくまでもお互いを「対等」としたスタンスの治療をとることで、徐々にバーディの心の奥底にあった問題が浮上。

幼少期に両親との接触の少なさ、乳母からつねられる・食事抜きといった虐待、左手だったのを矯正、X脚を器具を使って矯正・・。
出るわでるわの問題エピソード。
よくまともな大人になったもんだ。

基本まじめだから抑圧されてても精神力でカバーしちゃうけど、
ほころびが吃音として表にでてくるんだろうなあ。
まじめだから、人妻によろめいてる兄エドワード8世みたいに好き勝手しちゃうのもできないし。
まじめだから、父王の期待に応えようと頑張るし。
スピーチに挑む→吃音出る→失敗、落ち込む→トラウマ
の悪循環に陥りさらなるプレッシャー。
こういう人は成功したことがないから、自信がもてない。
自信がもてるような治療をするのが一番の治療なのに。
だから本式の言語聴覚士よりも必要なのは心理カウンセラー。
心理的な治療をしたライオネルとの出会いは本当に僥倖。

怒っているときは吃音が出ないということで、怒らしてたまってる鬱憤を出させるシーンでの
「F××K」とか「S××T」とかのいわゆる下品な4文字言葉を連発する所は最高!
王族でも、まじめなバーディでも知ってるのねって。

一旦は兄ではなく自分が王になれと説教するライオネルの元をさるバーディ。
霧の中でケンカする所は、イライラしながらも内面は分かっているバーディと
それをなんとかして助けてやりたいとするライオネルの口論は切なかった。

結局は自分に必要な人物だと思い1シリング(だっけ?)もって行って謝罪。
戴冠式で本当はライオネルは「医師」ではないと大司教から告げられたにも関わらず、
自分にとって吃音を治す医師ではなく、心理的な負担を軽減してくれるカウンセラーの存在が必要だと理解したんだなと思う。

ラストのスピーチ場面で、放送室でライオネルと2人きりになったバーディに、
「友人に語りかけるように」とアドバイス。
少し吃音がでつつも、自分の心からの言葉を自分の言葉でしゃべっているバーディに国民は聞き入る。
そのシーンでタウトを振るかのように指示を出すライオネルと、
それを見て間をとるなどするバーディ。
指揮者とソロで演奏する人みたいで本当に素晴らしい。
終わった後に、バーディの顔に浮かんでいたのは紛れもない自信。
吃音が完全に治ったわけではないけど、スピーチの成功を自分でも感じて、自信がみなぎっててここから本当の王になったかの印象を受けた。

バーディが娘二人(エリザベスとマーガレット)にお話を聞かせるシーンは、ものすごく仲がいい家族なんだと思える。
どもりながらも、「ペンギンのパパがアホウドリになって戻って、2人を大きな羽で抱きしめるという話」を一生懸命してていい父親だなあって。
ずっと自分たち家族を「Us Four/私たち4人」と言ってただけある。


ものすごく見終わった後に「久々にいい映画見たなあ」と思える映画でした。



あとエドワード8世が人妻シンプソン夫人を選んだのを見たときは、
チャールズ皇太子とカミラ夫人の関係思い出して、
「やはり血か・・」
と思ってしまった。
by remisara | 2011-03-07 23:49 | 映画